2010年5月20日木曜日

休みの日には

休日。自由な大学生活とはうってかわって、海員学校になってからは週2日だけと、社会人からすれば普通ですが、かなり貴重さを感じるようになった休日。

何をしているのかといえば、部屋で寝ているわけではなく、朝から自転車で出かけております。

学校寮から自転車では清水駅まで30分、新静岡まで80分で行けます。

先週の日曜日ははるばる焼津まで行きました。

寮から焼津の市街地までえいえんと続く海岸沿いのいちご街道を片道20キロ。片道2時間30分といったところでしょうか。
目的は最近の憂鬱の除去と、お昼に漁師飯の店に行くことでした。

しかし目的の二個目は、通りがかりの用宗漁港でみなと祭をやっていてそこの露店のしらす飯などを食べたために焼津で食べる必要が無くなりました。
















 静岡市から焼津市に抜けるには一山あって、高速道路や新幹線では日本坂とか言うトンネルを使うことになるのですが、自転車の自分は海沿いの大崩海岸を通りました。海沿いなのに峠道で結構疲れましたがそこまで長くなかったので挫折せずに焼津市内にたどり着きました。

















焼津港はでかいです。漁港なので自分が乗るであろう商船の出入りはありませんが、さすが水揚高で日本一を争う漁港といったところです。漁港なのに立派なドックがあったり、ヘリコプターを搭載した大型漁船が着いていたり。 三崎漁港とは格が違う。

















 帰りは平坦な新日本坂トンネルを使ってゆったり帰ろうと思ったら新日本坂は自転車が通れないということが行ってみてわかったので折り返して泣く泣く大崩海岸を通りました。
大崩を過ぎてからは行きとは違う北街道を使って夕食の寸前に寮にたどり着きました。
マジで疲れました

ですがリフレッシュできたし、憂鬱も少しは取れました。

次週は 北街道の途中にあった大内観音(霊山寺)と日本平にでも行こうと思います。

2010年5月4日火曜日

Seamanship?【資料編-2】

Seamanship
シーマンシップ?なんぞや?シーマン?なんかのゲームであったような?という方も多いはず。これには明確な定義が無く、ただ船乗りが持つべきもとして言われ続けている言葉だ。しかしながら、この言葉に関して重要なお話を先日参加した第2回海洋教育フォーラムでしてくださった船長がいらっしゃった。一般的な意味や、フォーラムで紹介された意味を紹介していく。

1.辞書的な意味『ジーニアス英和大辞典(大修館書店)』より
 seaman         :船員、海員(=mariner, sailor)
   seamanship  :船舶の操縦・保守・航行技術
 辞書では、船の技術にのみ言及している。

4.法律(「船員法」より)
 「船員法第二十一条
 海員は、次の事項を守らなければならない
 一 上長の職務上の命令に従うこと。
 二 職務を怠り、又は他の乗組員の職務を妨げないこと。
 三 船長の指定する時までに船舶に乗り込むこと。
 四 船長の許可なく船舶を去らないこと。
 五 船長の許可なく救命艇その他重要な属具を使用しないこと。
 六 船内の食料又は淡水を濫費しないこと。
 七 船長の許可無く電気若しくは火気を使用し、又は禁止された場所で喫煙しないこと。
 八 船長の許可なく日用品以外の物品を船内に持ち込み、又は船内から持ち出さないこと。
 九 船内において争闘、乱酔その他粗暴の行為をしないこと。
 十 その他船内の秩序を乱すようなことをしないこと。」

 法律では以上のような定義づけがなされており、これらは規律、船内秩序とある。「~ないこと」のような否定形が多いが、要するに船内のマナーといったところであろう。

3.講演より(第2回海洋教育フォーラム、練習船日本丸元船長 橋本進氏の講演より)
 
 ①自然との共存を体得できる
 ②自然とのバランスを理解する
 ③実行力を身につける
 ④シップシェイプを学ぶ
 ⑤働くことの意義を体得する
 ⑥スマートさを身につける
 ⑦素手と素足で作業する
 ⑧観天望気の大切さを知る
 ⑨集団生活の基本ルールを知る
 ⑩忍耐と克己の経験
 ⑪身を守るすべを知る
 ⑫片手は船のため、片手は自分のために使う
 ⑬同じ釜の飯を食う経験
 
 主に練習帆船日本丸での実習で必要なもの。自然とのバランスやシップシェイプは、セールの取り扱いに関係する。
 またここで重要なのは、これら13項目を理屈として知るだけではなく、現場で体得するものであり、できるようにするものであるということでした。

4.海上自衛隊のTVCM(以前のものをyoutubeから。海上自衛隊公式ページにもあります)
 http://www.youtube.com/watch?v=ZjAXJaFydwM 

 お馬鹿CMとも騒がれてはいるが、seamanshipを連呼しているのが印象的。

 

意味も多義にわたり、定義しがたいseamanshipではあるが、最も印象に残っているのは教官としての経験から定義した橋本氏の講演の内容であると思う。これから練習船に乗り込み、船員になるものとして覚悟を覚えた。自分もこれを持った船乗りになるよう努めます。

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職務分担、船員の階級【資料編-1】

資料編では、当ブログを読む上で、あるいは船を理解するうえで必要な海事知識を順を追って簡単に紹介して行こうと考えています。わかりやすくするために、説明・写真等を随時追加していきます。】


職務分担・船員の階級
船員は階級社会です。陸の方々の中にはC/Eとかチョッサーとか突然聞かれても何が何のことなのかわからないという方も多いと思うので、部門別にその階級を名称とともに紹介していきましょう。但し、この階級はあくまで商船(主に客船、貨物船)で適用されているもので、艦船等で適用されているかどうかは不明です。

1.船長(captain, C/P, capt.)
 船長はその名の通り、船上の最高責任者。船内の部門全てを総括している。制服の金筋は4本である。甲板部出身で有るが船長はどの部門にも属さない。海技士[航海]免状が必要なのに加え、会社によっては船長昇格に社内試験や論文審査を課するところもある。

2.甲板部
 甲板部(こうはんぶ)はデッキと呼ばれ、主に①船舶の運用、②船体のメンテナンス、③荷役、④気象、⑤船内衛生の保持を業務としている。なお、船長は甲板部出身であるが船上ではどの部門にも属さない。
 
 職員は「航海士」「officer」と呼ばれ、海技士(航海)の免状が階級毎に必要。また階級ごとに制服の袖あるいは肩に金筋が引かれており、本数が多いほど階級が上となる。金筋が引かれるのは全部門で共通。業務においては以下の航海士が12時間当たり3交代制で(ワッチ)船橋で操船指揮を執る。
  a.一等航海士(chief officer, C/O, チョッサー):金筋3本
  b.二等航海士(second officer, 2/O)     :金筋2本
  c.三等航海士(third officer, 3/O)                  :金筋1本
 
 部員は一等航海士の下に位置し、免状は不要。日本船社の外航船においても部員は全員外国人の場合が多い。職員とともに交代制で職務に当たるが、その他雑用もこなす。
 d.甲板長(boatswain, B/N, ボースン)
 e.甲板手(Q/M, クォーターマスター)
 f.甲板員(sailor)

3.機関部
 いわゆる「エンジン」。機関部の主な仕事は①機関の運転、②電気系統の管理、③燃料の管理、④船内工作である。近年では夜間の機関は無人で運転されることが多く(Mゼロ運転)、夜間当直は無く船内でもおよそ9時5時勤務ということになる。また寄港地においても荷役はしないので着岸後真っ先に下船できるのは機関部である。
 
 職員は「機関士」「engineer」と呼ばれ、陸上の仕事と区分するために、マリンエンジニアと呼ばれることもある。海技士[機関]免状が必要。
 g.機関長(chief engineer, C/E)         :金筋4本
 h.一等機関士(first engineer, 1/E)     :金筋3本
 i.二等機関士(second engineer, 2/E) :金筋2本
   j.三等機関士(third engineer, 3/E)    :金筋1本

 部員は書く機関士の指示の下業務を行う。
 k.操機長(No.1, ナンバン)
   l.操機手
 m.操機員

4.無線部
 無線部は陸上や他船との通信をおこなう。職員「通信士」「radio operator」のみで部員は存在せず。必要な資格は「第一級海上特殊無線技師」など。近年商船においてはこの部門は甲板部職員と統合されており、無線部が独立して存在するのは官庁船や海洋調査船、練習船等に限られている。
 
 n.通信長(chief radio operator, C/R)  :金筋4本
 o.2等通信士(second radio operator, 2/R)

5.事務部
 船用品の管理、食料購入・調理が主な役割。司厨部とも呼ばれる。客船などでは接客にも当たる。職員が居らず部員のみの商船も多数存在。特に内航船では甲板・機関部の中から交代で調理に当たる船もある。

 職員
 p.事務長(purser, Pur, パーサー):金筋4本
 q.事務員              :金筋2本

 部員は主に調理に当たる。
 r.司厨長 船舶によってさまざまな呼び名があり、コックやオヤジなどと呼ばれる。
 s.司厨手
 t.司厨員

…以上船長以下4部門21の職務分担が存在する。上記の通り船舶によっては省略・統合されている部門も存在する。

説明・写真等随時追加していきます。
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2010年5月3日月曜日

カボタージュ部分緩和

 先日カボタージュを定義とともに政権交代に関わらせ、規制緩和の懸念を記事にして(2010年2月27日)投稿しました が、その懸念がついに現実のものになってしまった。

 今年の3月下旬、国土交通省は「沖縄―本土」間の一部の船舶輸送を外航船に行わせることを認めた。これは昨年沖縄県知事が該当区間のカボタージュ緩和を申請していたものに応える形で、主として①物流コストの低下、②それによる県経済振興増加を目的として緩和されたというものである。
 緩和については、①沖縄県那覇市とうるま市をそれぞれ自由貿易地域、特別自由貿易地域とし、該当区間で沖縄県側の発着点をこの2つに限定させ、②運航する外航船は日本船社が運航するものと、2国間の相互主義を基にした国の船舶に限定させ、さらに③輸送量は年間2000トンを限度とするなど、制限を設けている。

 しかしながら、現在のところこれら地域での内航海運業界に対する影響は少ないという。輸送量2000トンは一月あたりおよそ9TEU(20フィートコンテナ9個分)であるし、このようにわずかな取扱量では大量の荷物を取り扱う外航船は参入しないだろうという業界としての予想が出ている。
 これならば安心なのだが、今回のカボタージュ緩和は内航海運業界の再三再四の反対や陳情をしたにもかかわらず、国土交通省あるいは沖縄県は緩和を進めてしまったという。この緩和を普天間基地問題を進める上での餌ではないかという考えもある。それならば短絡的である。先日の記事でわたしが政権交代と絡めて懸念したがままになってしまう。
 そのうえ、このような調子で沖縄県全域をカボタージュ緩和してしまった場合は外航船の新規参入はあるだろうし、およそ倍の運賃で運航せざるを得ない内航業者は倒産に追い込まれる。日本人船員が失業し減少する。国内の海上安全が危ぶまれる。さらに短絡的な考えで安易に規制緩和が全国にも及びかねない。民主党政権は内航海運業界の現状を熟知する必要があるだろう。

参考文献・サイト
アドメディアvol.172「沖縄航路のカボタージュを認める」
http://www.admedia-tokyo.jp/backnumber/contents/172.html
内航ジャーナル社「月刊内航海運 2010年4月号」2010年

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