2009年12月21日月曜日

緊迫の石油ターミナル

 石油ターミナルとは石油をタンカーから積みおろしする場所のこと。海上にもそのような設備が存在し、東京湾には千葉沖や扇島沖にそれぞれ“シーバース”という名前で存在し、タンカー船が日々発着している。

 しかし周知の通り、日本には石油資源はないため、これらシーバースで行われる作業は、タンカー船が外国からもたらした石油を工場に運ぶため「降ろす」ことに限られる。

 逆に、石油を「積む」作業は産油国で行われる。現在緊迫が続いているイラクも産油国であることは言うまでもない。現在のイラクの数少ないの国益のひとつとなっている石油。これを積む石油ターミナルがイラク沖にあるという。
 
 新聞記事によれば、これは「バスラ石油ターミナル」と称し、パイプラインで内陸の油田と直結しているという。新聞の写真には大型タンカーが写っている。ファネル(煙突)が朱色なのでこれは日本の船社のものだろう。もう一つの写真には機関銃を持ちターミナルを見回る米兵の姿が…。そしてターミナル周辺には米の巡洋艦が監視しているという。

 そう。石油ターミナルや油田もテロの標的なのだ。いくら米兵が警戒していても、攻撃されてしまったらひとたまりも無い。万一タンカーに引火してしまったら大惨事であろう…。

 このような危険な場所にも船は欠かすことができず、船員は危険と隣りあわせなのだ。この写真に写っている日本商船隊の船員に日本人がいるかどうかは不明だが、ソマリア沖のこともそうだ。外航船員は危険にさらされている。もちろん、船員に限らず、危険を冒して日本に恩恵をもたらしてくれる人々はたくさんいるが、船員の緊張や苦労のおかげで、モノにあふれる快適な日本が形成されているということを、改めて知ることとなった新聞記事であった。

参考文献
朝日新聞09年12月18日国際面

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2009年12月17日木曜日

TDM(とどめ)

TDM。それは大学生活のTDMだ!

もともと英語の先生になりたくて大学に入った。

英語を教える英語の先生になりたかったのに、大学教職課程で求める先生は、生徒に即した先生だった。そのことに絶望し、2年次の終わりで先生になるのをやめてやった。

でも学部はつぶしの効かない文学部。文学部でやることなど社会で役立つまいという自虐に陥ってしまったため、学業も就職活動も身に入らない。大学生活がサークル以外全部苦痛になった。

卒論も苦痛だった。サボってばっかだったけど、提出期限20分前に提出したぜ!!

先生になれば役立つものだったのだろう。

卒論出してすっきりした!年明けに口述試験があるが、この大学でやるべきことのほとんどは済んだ。
そうだ、これはTDMなのだ!苦痛な学業のTDM!!

でもこの大学を選んだのは自分。来年からの2年間こそ、将来を見据えた充実したがくせいせいかつにしてやる!!

ただ、一つだけデカイ大学じゃなければ受けられない恩恵がある。そう、情報環境だ。今まで書いてきたニュース記事も、大学の新聞記事検索機でタダで得た情報。清水には見たところそういう環境はない。

まあ、業界紙くらいならあるだろうからいいだろう。


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クルーズ客船は好況?

 こんな不況なのに、富裕層には関係ないのですな。

 商船三井客船の「にっぽん丸」が全面改修を施すらしい。というか、すでに改修に取り掛かっていて、来年2月には完了するという。

 不況の時代、クルーズ客船に乗る人など減る一方で、海運会社もクルーズ客船事業など手放そうなどと思い始めているのではないか、と思いきや、クルーズ客船の利用者は年々増加しているという。

横浜港大桟橋埠頭にて。改修前のにっぽん丸。
 











 今回の全面改装も、利用者増加に対応したもので、高価格の部屋を増設するという。特に5月に予定されているクルーズでは、費用900万円に関わらずキャンセル待ちが来ているという。 
 
 利用者は団塊世代の富裕層で、節約志向を騒ぐ我々庶民には想像もつかない世界だ。さらに、日本人でも飛行機で米国に出向き、現地でクルージングを楽しむ富裕層も大多数いるという。なんというセレブリティ。カリブ海はクルーズ客船のたまり場らしく、アメリカ人の富裕層がそこで休日を楽しんでいると言う。ディズニー仕様のクルーズ客船も2隻存在する。

 荷動きが無くてもがいている外航海運業界ですが、客船事業は意外なドル箱事業ですな。よくわからないけど、豪華客船の船員さんは航行中でもつなぎではなくフォーマルな服装なのかな??

参考文献
日経産業新聞 09年12月4日

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2009年12月3日木曜日

エコシップ

新聞見逃すところでした。
(11月24日の朝日新聞)

 海上輸送は“安価で大量に”運べるという利点がある。
 特に国内物流では、温暖化ガスを削減する手段として、トラックの経路に“RORO船”というトラック専用のフェリーを含むことを荷主に提案している。確かに、船の乗る分車の排気は抑えられ、人件費も無くなり、時間がかかるという点以外では荷主にとってはお得である。1トンの荷物を1キロ運ぶ際のエネルギー消費量は車の約4分の1だ。RORO船に限らず、他の船も国内輸送に利用するならばお得で温暖化ガスの排出は抑えられる。
 
 しかしだ。船舶も排気を出していることには変わりない。港で船を見ればわかるように、船の出港時、かなりの排気が発生するし、航行中も常にモックモクである。日本の企業別温暖化ガス排出量ランキングでは、業界トップの日本郵船がかなりの上位にあり、住友金属工業より多くの排出量を誇っているのだ(※ただし、3国間輸送を含む排出量)。世界レベルで見ても、海運業界は世界の排出量の3%を占めるという。

 国連の国際海事機関(IMO)は、1隻ごとに排出量を制限する基準を決めようとしている。船にも環境対策が必要とされてきているわけだ。
 この動きを船主・造船も敏感に感じとり、行動に移している。日本郵船では、自動車専用船1隻に太陽光パネルを搭載し、動力の1%をまかなう試みを行っている。さらに2030年までに、スーパーエコシップと称して、あらゆる技術を駆使し排出量を約7割抑えるコンテナ船を作るという壮大な計画を発表している。商船三井でも排出量を半減する次世代自動車船「Ishin-Ⅰ」を計画している。内航海運においても、電気推進船が早くも就航している。

 新聞を見て特に驚いたのは、塗料メーカーの日本ペイントマリンが、マグロやイルかの皮膚を元に作った塗料を開発し、コレを採用した宮崎フェリーではなんと年間1億円の燃料費削減を実現したということだ。海の生物から船舶建造のヒントを得ているのが印象的だ。

 また、このほかにも、泡や風、スクリューの工夫などで排出量削減を図るという動きもある。

尾道にて。貨物船は“安く大量に”運べるよう、巨大化の傾向にある。
これは環境対策にもつながることになろう。

 
 












 
 この技術革新は非常に目を見張るものがある。この技術を広くPRすることで、同時に船の役割や船員の仕事などを認知させるきっかけにもなるのではなかろうか。

参考文献
朝日新聞09年11月24日
日経産業新聞09年9月11日
『内航海運の活動 平成21年度版』日本内航海運組合総連合会、2009年


現在、筆者は海から離れた場所に住んでいるため、挿絵代わりの記事に関連する海や船の写真が少なく、殺風景なブログになってしまい、申し訳ございません!!
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