2009年12月3日木曜日

エコシップ

新聞見逃すところでした。
(11月24日の朝日新聞)

 海上輸送は“安価で大量に”運べるという利点がある。
 特に国内物流では、温暖化ガスを削減する手段として、トラックの経路に“RORO船”というトラック専用のフェリーを含むことを荷主に提案している。確かに、船の乗る分車の排気は抑えられ、人件費も無くなり、時間がかかるという点以外では荷主にとってはお得である。1トンの荷物を1キロ運ぶ際のエネルギー消費量は車の約4分の1だ。RORO船に限らず、他の船も国内輸送に利用するならばお得で温暖化ガスの排出は抑えられる。
 
 しかしだ。船舶も排気を出していることには変わりない。港で船を見ればわかるように、船の出港時、かなりの排気が発生するし、航行中も常にモックモクである。日本の企業別温暖化ガス排出量ランキングでは、業界トップの日本郵船がかなりの上位にあり、住友金属工業より多くの排出量を誇っているのだ(※ただし、3国間輸送を含む排出量)。世界レベルで見ても、海運業界は世界の排出量の3%を占めるという。

 国連の国際海事機関(IMO)は、1隻ごとに排出量を制限する基準を決めようとしている。船にも環境対策が必要とされてきているわけだ。
 この動きを船主・造船も敏感に感じとり、行動に移している。日本郵船では、自動車専用船1隻に太陽光パネルを搭載し、動力の1%をまかなう試みを行っている。さらに2030年までに、スーパーエコシップと称して、あらゆる技術を駆使し排出量を約7割抑えるコンテナ船を作るという壮大な計画を発表している。商船三井でも排出量を半減する次世代自動車船「Ishin-Ⅰ」を計画している。内航海運においても、電気推進船が早くも就航している。

 新聞を見て特に驚いたのは、塗料メーカーの日本ペイントマリンが、マグロやイルかの皮膚を元に作った塗料を開発し、コレを採用した宮崎フェリーではなんと年間1億円の燃料費削減を実現したということだ。海の生物から船舶建造のヒントを得ているのが印象的だ。

 また、このほかにも、泡や風、スクリューの工夫などで排出量削減を図るという動きもある。

尾道にて。貨物船は“安く大量に”運べるよう、巨大化の傾向にある。
これは環境対策にもつながることになろう。

 
 












 
 この技術革新は非常に目を見張るものがある。この技術を広くPRすることで、同時に船の役割や船員の仕事などを認知させるきっかけにもなるのではなかろうか。

参考文献
朝日新聞09年11月24日
日経産業新聞09年9月11日
『内航海運の活動 平成21年度版』日本内航海運組合総連合会、2009年


現在、筆者は海から離れた場所に住んでいるため、挿絵代わりの記事に関連する海や船の写真が少なく、殺風景なブログになってしまい、申し訳ございません!!
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