2009年11月26日木曜日

マルエーフェリーありあけ

 熊野灘で13日に発生したフェリーありあけの横転事故。
 乗客乗員が全員無事だったのが何よりだったが、船長の責が今後問われることになるのであろう。
 当時は波高4メートルで、航行には問題ない状況だったがこのようなことになったのは、三角波(風波の影響等で複数の波がぶつかり発生する巨大な波)によるものであるとのこと。船にとってはもっとも恐れるべき気象現象の一つだ。
 事故発生後の救出にあたっては海上保安庁に通報し、ヘリにより乗客7人から始まり、最後は船員が海に飛び込み救出されるという形となったが、この間に何度も船員は船の復元を試みたという。船体が傾斜したときには乗客を落ち着かせることから始まり、最後に残った船長ら7人がいたところは操舵室だった。最後まで自分たちの船にすべてを賭けたかったかのようだ。だが彼らの努力もむなしく、船を脱出することに。そしてその11分後には船は横転、そして今日、ありあけは解体されることが決定した。
 これは緊急時船員に当然求められることであるが、このパニックになりそうな状況下でも、冷静にやるべきことをこなしたことには賞賛したいものだ。
 
 この船長らのことと重なるのが、昔の船員法にあった“船長最後離船の義務”だ。つまり、非常時に船を脱出するときは、最高責任者である船長は誰よりも最後に船を離れるということだ。戦時中、魚雷等で沈められた商船の船長のほとんどが船と共に命を落としているのはこのためであるという。
 今回の事故とは少し違うことであるが、ありあけの船長や船員たちに、このSeamanshipが垣間見られたのである。

Seamanshipについては以下のスピーチが参考になりました。
「海賊問題海の男の仁義」(「海の王国」内のページ)
http://www.umioukoku.com/seamorimoto2.html 

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