2009年11月19日木曜日

高齢化

日本は高齢化が進んでいる。

 産業でも然りだ。農・林・水産業は後継者不足が危ぶまれている。

 私は現在、文系の大学生だが、周りでこのような仕事をしたいという者はいない。
文学部という実学離れした学部にいるせいか、学校の先生になりたい人以外は、航空会社の接客や出版社など、ドラマチックで“華やか”な職場を希望する人たちが多い。彼らはそれなりの考えを持っているのであろうが、「第一次産業」で働きたい、という人は皆無だ。おそらく文系の他の学部・大学でも同様であろう。
















 
 話を戻そう。内航船員も高齢化が進んでいる。
 私のような、大学生活末期から船員を目指そうとする文系学生など珍種といえよう。
 内航船員の64パーセントが45歳以上で中には80代の船員もいるという事実。
 若手船員全然が足りないのだ!!!!


 その要因は様々だ。本や新聞の情報をまとめると、
①海運業は家業的性格があり、外部から新人を呼ぶという概念がない。
②船主がコストカットすると、新人船員を養成できない。
③これは要因ではないが、外国人にやらせようとする向きが存在する。

ということになる。①については、国や船主協などが船員養成を活性化させようとする流れが見られる。(現政権ではちょっと怪しいが。)
②はつまり、新人養成には費用が必要で、その財源を稼ぐためには運賃を上げなければ、ということだ。
③はどうだろうか?考えても見て欲しい、外国人を嫌うわけではないが、自分の国の内部輸送を外国人に任せるというのは…と思わないだろうか。都心の飲み屋の店員を見て違和感を感じはしないだろうか。

 しかしこれら三点を突いても、新人船員は増えないであろう。それは若者の志向にあると思う。若者は“3K”を嫌っているのだ。華やかな職場像を浮かべる大学生は多く、“3K”の職業はかっこ悪いし、合コンで嫌われると恐れる向きもあろう。
 きつい、きたない、危険。船員は見事に三拍子そろっている。

 知名度が低いのも事実。船員になった人の、船員を目指すことになったきっかけは、ほとんどが「身内が船員をやっていた」という事実。かく言う私もそれに似たきっかけ。船員という仕事の魅力を広く伝える手段が必要だ。

 だがその見返りはある。内航船員の平均月給(500総トン未満)は、基本給で
  船長・職員が41万2千円
  部員が33万2千円

 特殊な職業なので養成には期間が要るが、その見返りは大きい。内航ならば国内物流の、外航ならばわが国のライフラインの一翼を担える船員。その空気とやりがいを、満員電車が行き着くオフィスで味わうことができようか。私にはむつかしいな。

だからなんだというわけではないが、これらの職業に目を向けるのも良いのではないだろうか。



参考文献・ページ
「日本経済新聞」:08年8月7日朝刊、9月15日朝刊
成山堂『交通ブックス・現代の内航海運』鈴木・古賀著、2007年
「船員への道」(「海の王国」内のページ)
http://www.sea-navi.jp/voice.html 

カテゴリー“船員”では、船員を取り巻く現状や、あまり知られない船員の仕事について記していきます。
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