2009年11月26日木曜日

関門海峡事故

この事故、責任はいったい誰に行ったのだろう?

・護衛艦くらま
 責任はないと考える。たまたまぶつけられたのが護衛艦であっただけである。事故翌日の新聞記事には、「過去に起こした護衛艦事故の一覧」が各誌掲載され、疑われていたが、あたごの事故とは違い、今回は護衛艦に責はない。当時乗組員全員が見張りについていたが、航路を法令に従い右側通行していたし、保安庁の関門マーチスからカリナスター接近の知らせを受けた直後に衝突し、返答はその後だったという。

・韓国船カリナスター
 責任がもっとも大きいと言える。前方にいる貨物船を発見した時点で減速しなかったことに加え、幅600メートルの航路で追い越しをしようとした意図もおかしい。向かい潮で舵を切った時点で予想外に左に曲がり過ぎ、実質操縦不能になってしまったのだろう。「港則法」では本来航路は追い越し禁止であるが、追い越し時の安全が確認された場合はできるという。ただしこの場合汽笛を2、3回鳴らさなければならない。マーチスの助言があった時点での応答と汽笛という義務を怠っていたことなど、多くの点からカリナスターに責がある。
 しかしながらこの船は韓国のもの。船員はこの海域に不慣れであったことも十分に考えられる。だからこそ安全航行を徹底して欲しいものだが、本来1万t以上の船に適用される水先業務(地域ごとに定められた「水先人」という、当地の海域に精通した船長経験者が航行中の船に乗り込み、操船の指揮を執る業務)の適用範囲拡大も今後国が考えるべきことであろう。
 余談ではあるがマスコミは韓国船の責を問う表現がなされていない。朝日新聞など、28日に記事を出したっきり11月1日の社説まで記事を一切出していない。遺憾である。

・関門マーチス
 マーチスとはMarine Traffic Information Serviceの略で、海峡など船舶が多数錯綜する海域で船に情報提供をし事故防止を図る海上保安庁の施設で、関門海峡にも設置されている。東京湾では浦賀水道横の観音崎にある。
 今回マーチスの管制官も追い抜きを助言していたという点で責任が問われている。これはあくまで「助言」であって強制力があるものではなく、最終的判断は船長が行うものとされているが、実際助言に従って動く船舶がほとんどであるという。くらまやカリナスターに情報提供は怠りなかったが、確かに今回も責任が問われてもおかしくはない。マーチスの助言も今後は「勧告」とし、強制力があるように法改正されるが、強制力についての定義を協議する必要があろう。


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