2010年4月11日日曜日

入学、この道の始まり

 海員学校、正式名称は長いのですが、先週火曜日に入寮、水曜日に入学しました。つまりわたしは船員への道を歩み始めたのです。


 明日から本格的な授業が始まりますが、寮での生活規則、服装や頭髪は気楽な大学生活を送っていた3月までとはうってかわって大変厳しいものになりました。全授業出席が大前提、成年でも禁酒など。普段の生活態度にも厳しさが及ぶほどです。まあ軍隊ほどではないんでしょうけど。
 ですが説明を聞くたび、教官はこの規則がどのように船員の現場と密接に関係しているのかを付け加えて説明してくれます。この厳しさ、いや規律を、今後の船員人生に活かして行くことを想像していくことこそが、いろいろな慣わしや知識を身につける最短路なのかもしれません。



 わたしは航海を目指すつもりですが、実際どうするかはまだわからないです。というのは、現役(18歳)で入学していない人は、航海に進むのは難しく、また、航海で就職したにしても、一生部員のままということも考えられる。しかし機関は世界中で人員不足で、なれば職員への昇格も早く、機関長になりやすい、というお話をする教官がいらっしゃったからです。
 実情はどうであれ夢を取るか、現実を鑑みて少し折れるか、わたしは前者でいたいけれども、航海・機関どちらの実際の仕事を知らないので、どちらも満遍なく、特に機関は食わず嫌いせず取り組んでみれば、楽しいということもあるかもしれません。


 また勉強だけでなく、寮生活を活かして、協調性、コミュニケーション能力、ひいてはシーマンシップの鍛錬に努めたいと思います。

2010年3月24日水曜日

進水式を見に行ってきました。

新造船が海に浮かぶのを祝う進水式。
船主が新造船に名づける命名式。

  船員への道を歩き出す前に、これだけは見ておこうと年始あたりから日程を調整していました。はるばる岡山県玉野市まで。

3月16日、三井造船玉野事業所、2号船台。
 三井第1720番船。 いわゆる「三井の56」と言われる、三井造船のばら積み船(石炭など、鉱物を直接積める船)シリーズ。 日本海事協会船級、パナマ船籍、全長約190メートル、積載トン数5万5千トン。
 こんな大型船の進水・命名式です。

船社が鶴見汽船(愛媛県の会社)で船籍がパナマで船主がギリシア人で…
業界構造がわからんぞ

今度は三菱とか川崎の進水式に行きたいですね。


①事業所の外にて。でかい。















②玉野三井病院。造船所直属の病院とはね…


③開始前は船名は伏せてある。命名も兼ねているため。
④日本とギリシアの国旗。造船国と船主国かな?

⑤船主による命名の儀。その名は“SPRING HAWK”


























⑥進水作業の後、船は滑走し海へ着水。これが式のクライマックス。











⑦着水が完了し式は終了。この船は艤装作業に入る。















⑧おまけ。“おが丸”置き換え用の高速フェリー。採算が見込まれずこんなところに放置。錆が…















感動しました。わざわざこのために日程調整してよかったです。


参考URL(玉野事業所の進水式日程)
進水式見学情報/玉野市観光情報よりhttp://www.city.tamano.okayama.jp/webapps/www/info/detail.jsp?id=1415 
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海洋教育フォーラム

およそ20日前の3月6日のことですが、
“第2回海洋教育フォーラム 日本の海洋教育を考える 船長さんが語る海洋教育”
というものを聞きに行きました。

このような機械に触れるのも初めてですので。
船員を志すものとして刺激をいただこうと思い参加したのですが。

日本船舶海洋工学会による案内
http://www.jasnaoe.or.jp/mecc/data/news100306-1.pdf 

日本船舶海洋工学会主催で、場所は船の科学館。














 内容は帆船教育の意義から始まり、各校の練習船の船長さんや航海士の方々、船の科学館でボランティアをなさっているJR青函連絡船で船長をされていた方の講演でした。
 中でも最初の「いまなぜ帆船教育か」と題する、航海訓練所の元船長のお話が非常に印象に残った。帆船教育で身につけるべきものは“シーマンシップ”というもので、これを13項目にわたって紹介し、これらを“理解する”だけではなく“現場で身につける”ものであるということを強調されたことです。13項目を要約すれば①自然とバランスよくやっていく、②自立する、③団結する、これらを体現することと言ったところでしょうか。
 “体現する”、もっと簡単に言えば“できるようになる”というのは他の練習船の船長さんもおっしゃっておりました。これが船員教育の鍵なのでしょう。勉強になりました。

 3000円という高い金を払って懇親会にも出させていただきました。これは何というか、現役船員の方々や海洋工学部生の方々ばかりで、最初はちょっと…と思った自分でしたが、ここで引き下がるわけには行かず、何人かの現役の船員さんや出版社の方、水産高校の先生などとお話させていただきました。皆さん商船大卒の方々ばかりで、海員学校に行くつもりの自分には多少肩身が狭かったですが、これはわかっていたこと。海洋大に行ったほうがいいと言ってくださった方も居ました。大丈夫かな俺…

 なんだかんだでいろいろと刺激をいただきましたが、講演の参加者がやはり船員の方や学会がらみの方々が大多数を占め、わたしのような一般人が少なかったことも事実です。

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2010年2月27日土曜日

カボタージュ と政権交代

カボタージュ。
辞書では、船舶の国内沿岸航行とか、航空機の自国機限定運行とある。つまるところ海事では、自国内の海上輸送は自国籍の船舶・船員で行うということであり、これを法律で定めている。


飛行機だとわかりやすい。日本・外資系航空会社を問わず、国際線の飛行機は日本の空港に複数回寄航することはないし、あったとしても日本国内のみの搭乗はできない。

このようにしている意義は、①低相場・運賃の外国船の参入を防止することで内航海運業界を守ること、②有事の際に安定した自国輸送ができる船員を確保できること、以上2つにある。したがって、日本の内航船員は全員日本人であり、外国船が国内輸送をすることは無い。これらのことから、カボタージュは全世界で適用されている。また安全基準を満たしておらず日本に不慣れな外国船が国内輸送をする場合は、海難事故の危険が高まる。現に日本で海難事故を起こす船舶の大半が外国船である。

しかしながら、これは相場の関係から日本では非常にコストがかかり、したがって荷主企業からは運賃に対する不満が多く、国内輸送にも外国人船員を導入するべきだという見方まである。

外航海運船社ではほとんどの乗組員が外国人となっており、これによって人員コストを抑えている。コストを抑えるにとどまらず、これら外国人船員の養成にも力を注いでおり、量だけではなく質でも乗組員を確保しているということになっている。

最近日本では政権交代があった。マニフェストに無い外国人地方参政権を発動しようとしている。これに対する賛否さておき、外国人の被選挙権が与えられる以前に、外国人労働者を国内に浸透させる動きがあるだろう。外国人労働者は現状でもいわゆる3K(きつい、きたない、危険)を伴う業務に勤しんでいるが、まさに3Kの船員という職業に外国人労働者を送り込むことはないようにしてほしい。この流れだとカボタージュを規制緩和しそうな現政権。経団連の要望を受け入れないのでコスト面で規制緩和を受け入れることは無かろうがそれでも心配だ。

有事はいつ起こるかわからない。それに備えて海外の外航船社の中でも、EU国籍の者にしか船員として採用しない船社(マースク)や、船舶職員は全員台湾人という船社(エバグリーン)も存在する。日本の外航船社でも近頃は日本人船員を増やす動きが見られる。

 閉鎖的な考えになってしまったが、カボタージュにはそれなりの意味があり、海難事故防止のためにも、日本人船員確保のためにも、カボタージュを緩和してはならない。

参考文献
成山堂『交通ブックス・現代の内航海運』鈴木・古賀著、2007年
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北極海航路

「北極海新航路の波紋」 (日経、09.9.27)


(要約)9月に、ドイツの海運会社ベルーガが、2隻の貨物船で北極海を航行しアジアから欧州に到達することに成功した。北極の氷が解け海面が広がったことにより実現した。北極点を通過することで、アジア―欧州間では従来のスエズ運河経由の航行よりも行程は3分の2となり、10日間の短縮となる。またその分二酸化炭素排出量も削減できる。特にロシア政府がこの航路に期待を寄せている。シベリアへの物資輸送が迅速になるためだ。国際レベルでも新航路に期待しており、NATOなどが設備等の設置を協議しているが、船舶が北極海を航行すれば北極海を汚染すると主張する環境団体もある。



確かに、北極経由の航路を創設することで、時間短縮やコストカット、あるいは温暖化防止に貢献するかもしれない。現状ではスエズ運河に通じるソマリア沖は海賊被害が絶えず、他にもマラッカ海峡など、危険で注意を要する海域が多数存在するので、これを回避できるならば海難事故が減少することにもなるかもしれない。

だが環境団体の主張も見逃せない。大型の商船の排気はすさまじく、船舶の交錯する海域では船の排気による環境被害もある。一概には言えないが、北極海航路の構想は、政府や船社や荷主のコストカットに走った上の短絡的な意見とも言える。ガラパゴス諸島にディーゼルのトラックを大量に走らせるようなものだ。排出量や環境への影響を慎重に調査するべきである。

実現すれば地球全体の温暖化が抑えられる航路になれる一方、温暖化で害を被る象徴的な場所を通過し、また北極の汚染をもたらす航路というのが皮肉だ。
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