【資料編では、当ブログを読む上で、あるいは船を理解するうえで必要な海事知識を順を追って簡単に紹介して行こうと考えています。わかりやすくするために、説明・写真等を随時追加していきます。】
職務分担・船員の階級
船員は階級社会です。陸の方々の中にはC/Eとかチョッサーとか突然聞かれても何が何のことなのかわからないという方も多いと思うので、部門別にその階級を名称とともに紹介していきましょう。但し、この階級はあくまで商船(主に客船、貨物船)で適用されているもので、艦船等で適用されているかどうかは不明です。
1.船長(captain, C/P, capt.)
船長はその名の通り、船上の最高責任者。船内の部門全てを総括している。制服の金筋は4本である。甲板部出身で有るが船長はどの部門にも属さない。海技士[航海]免状が必要なのに加え、会社によっては船長昇格に社内試験や論文審査を課するところもある。
2.甲板部
甲板部(こうはんぶ)はデッキと呼ばれ、主に①船舶の運用、②船体のメンテナンス、③荷役、④気象、⑤船内衛生の保持を業務としている。なお、船長は甲板部出身であるが船上ではどの部門にも属さない。
職員は「航海士」「officer」と呼ばれ、海技士(航海)の免状が階級毎に必要。また階級ごとに制服の袖あるいは肩に金筋が引かれており、本数が多いほど階級が上となる。金筋が引かれるのは全部門で共通。業務においては以下の航海士が12時間当たり3交代制で(ワッチ)船橋で操船指揮を執る。
a.一等航海士(chief officer, C/O, チョッサー):金筋3本
b.二等航海士(second officer, 2/O) :金筋2本
c.三等航海士(third officer, 3/O) :金筋1本
部員は一等航海士の下に位置し、免状は不要。日本船社の外航船においても部員は全員外国人の場合が多い。職員とともに交代制で職務に当たるが、その他雑用もこなす。
d.甲板長(boatswain, B/N, ボースン)
e.甲板手(Q/M, クォーターマスター)
f.甲板員(sailor)
3.機関部
いわゆる「エンジン」。機関部の主な仕事は①機関の運転、②電気系統の管理、③燃料の管理、④船内工作である。近年では夜間の機関は無人で運転されることが多く(Mゼロ運転)、夜間当直は無く船内でもおよそ9時5時勤務ということになる。また寄港地においても荷役はしないので着岸後真っ先に下船できるのは機関部である。
職員は「機関士」「engineer」と呼ばれ、陸上の仕事と区分するために、マリンエンジニアと呼ばれることもある。海技士[機関]免状が必要。
g.機関長(chief engineer, C/E) :金筋4本
h.一等機関士(first engineer, 1/E) :金筋3本
i.二等機関士(second engineer, 2/E) :金筋2本
j.三等機関士(third engineer, 3/E) :金筋1本
部員は書く機関士の指示の下業務を行う。
k.操機長(No.1, ナンバン)
l.操機手
m.操機員
4.無線部
無線部は陸上や他船との通信をおこなう。職員「通信士」「radio operator」のみで部員は存在せず。必要な資格は「第一級海上特殊無線技師」など。近年商船においてはこの部門は甲板部職員と統合されており、無線部が独立して存在するのは官庁船や海洋調査船、練習船等に限られている。
n.通信長(chief radio operator, C/R) :金筋4本
o.2等通信士(second radio operator, 2/R)
5.事務部
船用品の管理、食料購入・調理が主な役割。司厨部とも呼ばれる。客船などでは接客にも当たる。職員が居らず部員のみの商船も多数存在。特に内航船では甲板・機関部の中から交代で調理に当たる船もある。
職員
p.事務長(purser, Pur, パーサー):金筋4本
q.事務員 :金筋2本
部員は主に調理に当たる。
r.司厨長 船舶によってさまざまな呼び名があり、コックやオヤジなどと呼ばれる。
s.司厨手
t.司厨員
…以上船長以下4部門21の職務分担が存在する。上記の通り船舶によっては省略・統合されている部門も存在する。
説明・写真等随時追加していきます。
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2010年5月4日火曜日
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